COLUMN コラム

事業背景 ~失敗を恐れずに何度でも挑戦できる社会へ

はじめに

「起業」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?日本人の多くは「失敗したらどうしよう」「怖い」「危険」という後ろ向きなイメージを持っているのではないでしょうか。

そんなネガティブイメージに対し、「一度失敗しても何度でも挑戦できる」モデルケースを輩出し「何度でも挑戦できる TOKYO」の実現を目指すのが、この「TOKYO Re:STARTER」です。

社会的背景

下記の資料1は、「新しく事業を始めた人を個人的に知っている」とする成人人口の割合を、「起業活動浸透(ロールモデル) 指数」として示したグラフです。海外に比べ、日本はこの指数が極めて低く、起業活動があまり社会へ浸透していないことが分かります。

その結果として、日本では実際のキャリア選択として起業を選ぶ人の割合は少なくなっているのが現状です。

これは、日本社会の仕組みに起因するところが大きいと考えられます。

終身雇用が基本とされる日本企業において雇用者として働くことは、基本的には「安心・安全・安定」が約束されており、日本人の経済的安定を支えてきました。

その一方で、安定された道を捨てて自ら起業という選択肢を選ぶことに対する心理的なハードルが高くなっていることも事実です。

下記の資料 2 は起業をしたいと考えている人のうち、まだ起業していない理由として「失敗したときのリスクが大きい」ことを挙げている人に、その懸念するリスクを尋ねた結果です。

「事業に投下した資金を失うこと」「安定した収入を失うこと」「借金や個人保証を抱えること」といった資金面にまつわる不安が上位に挙がっています。

実際に起業後に目を向けても、破産歴のある方の借入のハードルの高さ、代表者の個人保証問題、煩雑な倒産手続きなど、課題は山積です。

これらの理由が重なり、仮に上手くいかなかったときに軽やかに次の挑戦に向かうことへのハードルは高く、結果的に起業に対して前向きに臨むことが難しいのが現状です。

これらの現状を変え、「何度でも挑戦できる TOKYO」を目指すには、「起業を志す人を増やす」アプローチと同時並行で「挑戦を受け入れる社会づくり」のアプローチが必要だと考えています。

資料1:『「起業家精神に関する調査」報告書」(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/houkokusyo/gem.pdf を加工して作成

資料2:『「2021年度起業と起業意識に関する調査」~アンケート概要~」(2022年1月日本政策金融公庫総合研究所 新規開業に関する調査より)

TOKYO Re:STARTER の「ミッション」

このような社会的背景を受けて、TOKYO Re:STARTER は立ち上がりました。
東京都の事業で、今年度で3期目です。

本事業は、一度困難に直面しても何度でも立ち上がるタフな起業家、「リスターター」の再スタートを支援します。そして、彼らが再起を遂げる姿をモデルケースとし、世の中に発信します。

それにより、これから再起を目指す起業家、潜在的起業家層、また、投資家・事業会社・金融機関などの起業家を取り巻くステークホルダーらが抱く「失敗」や「再挑戦」に対するイメージを変え、「何度でも挑戦できる TO-KYO」を目指しています。

TOKYO Re:STARTER の取り組み

今年度で3期目となる TOKYO Re:STARTER、困難な状況に直面しながらも信念を持ち続け、再起を遂げた「リスターター」を数多く輩出してきました。

TOKYO Re:STARTER は1年間を通じ、以下のプログラムを実施します。

プラットフォーム

どなたでも参加できるオープンなプログラムです。
先輩起業家や特別ゲストによる講演会、ワークショップ、プレメンタリングを通じ、再挑戦に向けたマインドセットを養います。
プラットフォームは通年開催になりますが、今年度は審査前にあたる 6~8 月は集中期間と位置付けており、アクセラレーションプログラムに向けて土台を作る期間となっています。

アクセラレーションプログラム

審査を経て採択された方々に向けた集中プログラムです。
定期実施されるメンタリングでは、事業の軸となるミッションやビジネスモデルの構築を行うとともに、起業家メンター、投資家メンターとのマッチングサポートも実施します。
プログラム期間中にそれぞれの「再起」を遂げられた状態を目指します。

成果報告会

アクセラレーションプログラム参加者による、一年間の成果を発表する一般公開イベントです。
本事業で再起を遂げた「リスターター」の歩みを発表することにより、「何度でも挑戦できる」というメッセージを社会に広く発信し、再挑戦に対する機運醸成を図ります。

具体的な事例は第二回以降のコラムでご紹介しますが、参加者はプログラムを通じ、再起業を果たしたり、大企業から受注を獲得したり、VC からの資金調達を実現するなど、再スタートを遂げています。

そして、彼らが「再起」のモデルケースとなり、「困難に直面しても何度でも挑戦できる」ことを社会に発信していきます。