COLUMN コラム

挑戦するほど強くなる~成功へ導く再出発・再起業の秘訣~

はじめに

「TOKYO Re:STARTER(以下、本事業)」は、一度困難に直面しても何度でも立ち上がるタフな起業家「リスターター」の再スタートを支援すると共に、彼らが再起を遂げる姿をモデルケースとして世の中に発信します。

これにより、再起を目指す起業家や潜在的な起業家層に加え、投資家・事業会社・金融機関などの起業家を取り巻くステークホルダーが抱く、「失敗」や「再挑戦」に対するイメージを変え、失敗を恐れず「何度でも挑戦できる TOKYO」を目指しています。

第一回のコラムでは、2023 年度上半期に行われましたイベントをレポートでご紹介します。

今回は、過去の困難から再起を遂げた株式会社どにち 代表取締役/CEO 武藤真氏のストーリーをレポートにしております。

“挑戦をするにあたり内省がいかに大切なのか” “自分自身と向き合うことでどう過去の経験を生かしていくのか”をこのレポートを通じて感じていただければ幸いです。

2023 年 7 月 28 日(金)17:00-19:00 実施

テーマ:挑戦をカタチに

会場:ボーンレックス挑戦 Hub -丸の内-

インタビュー協力者

株式会社どにち 代表取締役/CEO 武藤 真氏

2005 年にトリプロデュース株式会社を設立し、Web マーケティング・飲食・イベント開発などを展開。2009年に負債 6 億で会社を倒産させる。同時に自己破産。

その後サラリーマンを経て過去の経験からデジタルと現場をつなぐプロジェクト立案・PDCA を得意とする事業運営サポート事業にて再起業。 現在は大手車メーカーやアパレルメーカーなどに対してコンサルティングを行っている。


目次

1.会社を潰した原因とは?

2.サラリーマンに戻り、再び起業した理由とは?

3.過去の経験から学んだ社長としての大切な心構え


1.会社を潰した原因とは?

順調だったイベント企画ビジネス、4 年で売上は 10 憶円に

武藤氏が 2005 年に設立したトリプロデュース株式会社は、お客様から委託頂き、Web サイト制作やモデルのキャスティング、イベントの企画や店舗開発事業を運営していた。年間 200 本のイベントを企画し、中には一夏に 25 万人の来場者を記録するイベントを実施など、当時はとても順調だった。そこで、自社で飲食店の経営をすればもっと売上を伸ばしていけると考え立ち上げたが、2009 年リーマンショックの影響や、経営スキルが足りておらず、飲食店の経営が上手くいかくなった。

新しいビジネスを始め資金が回らなくなる。その原因とは?

飲食店の経営は、お客さんがいつ来るか分からない中、確実に集客し、利益を出さなければいけない。これまでやってきたビジネスモデルと違うことに立ち上げてから気が付き、そこから資金が回らなくなった。

また、当時 20 代だったため、「世界は自分のものだ」と思い、調子に乗っていた。

このような考え方、生活をしていたため、資金繰りが悪くなっているってことに気が付いてはいたが、プライドが邪魔をし、事態を誰かに相談したり、向き合うことができなかった。

負債を抱え、すべてを投げ出し行方不明に

「もう駄目だ」と思い、音信不通になり、全てを投げ出した。日比谷公園でダンボールハウスを作り寝泊まり生活だった。

当時を振り返ると、逃げ出した理由は、会社に負債があることだけではなく、負債があることにより取り立てに対する周りの目など、自分を責める目や声に耐えられなくなり心が折れたことだった。

しかし、その時も「会社をなんとかしないといけない』とは考えてはいたため、弁護士に相談していた。

結局会社を潰すことを決め、1 週間ほどで会社に戻ることを決意。

会社に戻ってからは、会社に関わってくださった方や心配をしてくれた友人に謝罪。

そこから、倒産破産申請を経て、2010 年の 9 月に免責許可を得ることになる。

2.サラリーマンに戻り、再び起業した理由とは?

過去の失敗を受け入れるために、自分自身と向き合う

ある経営者の友達と話す際に、必ず言われることがある。

「どんなに景気が悪くても、社長にマネージメントや会計のスキルが不足していても、生き残っている社長は世の中にたくさんいる。会社が潰れる理由は、世の中や社長のスキルのせいだけではない。社長の人間性や性格、意思決定によるもの。社長の人としての器が崩れることだ。」

当時うつ病だったこともあり、「会社を潰したのは自分のせい」と分かっていても、それを受け入れる自信はなかった。その中で、ある経営者の友人に誘ってもらい、友人が経営する会社で働くことにした。

サラリーマンに戻り、新卒のキャリアである web ディレクターとして働くことにした。最初に自分が成長を感じていたこと、自分が得意だと思っていたことに取り組むことで、失った自信やアイデンティティを取り戻すことができると思った。

また、サラリーマンとして働くことで、今後起業するのか、それともサラリーマンとし生きていくのかをじっくり考えることになった。

再起業に至るまで

サラリーマンの期間を経て、再起業することを決意した理由は三つある。

一つ目は、僕は社長の言うことを聞けないということに気が付いたこと。

二つ目は、自分が出した成果は、会社の成果としてだけでなく自分の成果として評価をされたい。

三つ目は、倒産をしたことで、なぜ事業が回らなくなったのか、会社を潰してしまったのか、会社を潰さないためにはどうしたら良かったのかを知っていること、そして、それは誰かを助ける事に繋がると思ったことだ。

3. 過去を受け入れ再起業、大切にしている心構え

会社を潰したのは「全部社長のせい」

会社作りで大切にしているポイントが二つある。

一つ目は、会社が潰れる原因は、景気の影響や経営スキルが不足していることだけではなく、”社長の人間としての器が崩れる”ことが会社を悪くすること。自分は会社を倒産させない人間の器があるのかということを常に、内省している。

二つ目は、新しい事業を始める際に、過去の失敗など経験に基づいて事業運営をすること。新しいことを学び、それを取り入れることは大事だが、取り入れることで自分が失敗した経験を忘れないこと。

過去の経験を活かし、経営課題を解決したい

会社が潰れるときには、一人一人の動きが悪くなり、プロジェクトが一つずつ失敗する、会社の事業成長のテンポが悪くなるのでテンポが悪くなることが兆候としてある。

その経験から「どうしたら会社を潰さなくて済むのか」、その方法をサービスにし、倒産しない会社作りたいと思い株式会社どにちを立ち上げた。

株式会社どにちは、お客様に対し適切な KPI の設定や、成果を出し続けるためのタスク運用の構築、潰れないチームを組成することにより事業成長をさせていくサービスを展開しています。

TOKYO Re:STARTER 参加者へのメッセージ

これからリスタートする方は、「なぜ会社を潰したのか」、「自分のどこに課題があったのか」自分の課題を活かした事業運営をしているのか?を考えながらネクストステップに進んでもらうと、よりよい会社作りになると思います。また、起業家は意思決定の連続です。何度でも挑戦していきましょう!

以上、講演レポートでした。

■お問い合わせについて

TOKYO Re:STARTER は、3 月に本プログラムの成果報告会を開催いたします。審査会を得て選抜されたリスターターがどのような軌跡をたどり、復活したのか是非楽しみにしてください!