COLUMN コラム

再起を遂げる重要な要素とは

はじめに

「TOKYO Re:STARTER(以下、本事業)」は、一度困難に直面しても何度でも立ち上がるタフな起業家「リスターター」の再スタートを支援すると共に、彼らが再起を遂げる姿をモデルケースとして世の中に発信します。

これにより、再起を目指す起業家や潜在的な起業家層に加え、投資家・事業会社・金融機関などの起業家を取り巻くステークホルダーが抱く、「失敗」や「再挑戦」に対するイメージを変え、失敗を恐れず「何度でも挑戦できる TOKYO」を目指しています。

今回のコラムでは、再スタートも含めて「挑戦」のキーとなる「ミッション」と「チーム作り」について、昨年度採択者の生の声を通してお伝えします。

採択者の声は、2023年度上半期に開催した以下のイベントの内容の一部を抜粋してお伝えします。

2023年6月16日(金)17:00-19:00 実施

2023年6月23日(金)17:00-19:00 実施

テーマ:これまでの挑戦とこれからの挑戦

会場:ボーンレックス挑戦Hub -丸の内-


インタビュー協力者/昨年度採択者

株式会社KOKYU 代表取締役 堀 敦友氏

近畿大学経営学部経営学科卒業。学生時代にWebコンテンツ事業を始める。
2004年、AIU保険会社(現AIG損害保険株式会社)入社。
2012年、レディースアパレルEコマースを創業。事業を拡大させた後、コスメD2C会社、Webマーケティング会社、焼肉レストラン、居酒屋などの事業立ち上げを経験。
2020年、株式会社KOKYUを設立。


株式会社トライフル 代表取締役 久野 華子氏

大阪生まれ。新卒で入社した株式会社ニッセンにてモバイルサイトのマーケッターを経験。退職後、約1年間バックパッカーで40カ国を巡る世界旅行をする。旅行中に発展途上国で、生まれた環境による格差を目の当たりにしたことから、2017年1月「誰もが自分らしく働ける社会を作りたい」という理念を掲げ、外国語対応人材の派遣と紹介を行う株式会社トライフルを創業。代表取締役を務める。


目次

1. ミッションの重要性(堀氏)

2.チーム作りの大切さ(久野氏)

3.終わりに


1.ミッションの重要性(堀氏)

ミッションを掲げるも形骸化した過去

レディースアパレル事業、コスメD2C事業、Webマーケティング事業、焼肉レストラン、居酒屋と、様々な事業を営んできた堀氏。ふと「社会のために何を残してきたか」と自問自答したときに、何も残せていないこと、新規事業の立ち上げ自体が目的になっていたことに気づく。

そのような中、パートナーの美容の悩みを解決したいという想いから新しい事業を立ち上げることに。ミッションを掲げて事業をスタートしたものの、コロナ禍で商品開発の遅延・債務超過に陥り、当時のチームは散り散りとなった。

ミッションを通じて周りからの共感と社会に貢献する実感が生まれる

本事業のプログラムに参加する中で、ミッションは事業の指針であり、チームメンバーや周りの人の共感を呼ぶためのものであることに気づく。それと同時に、これまではミッションとサービスが表面上しか繋がっていなかったこと、また、チームメンバーに共有できていなかったこと(共有する必要性を感じていなかったこと)を認識。業績不振はコロナではなくミッションが形骸化していたことにあると考えるようになった。

メンターとの壁打ちをおこない市場の声を聞くことでミッションを再定義。更にミッションをチームメンバーに共有することで、会社全体が同じ方を向くことができるようになった。社会に貢献できているという実感が湧き、仕事へのモチベーションも向上したと堀氏は語る。

更には、当時の業績が十分ではなかったにも関わらず、ミッションに共感してくれた銀行から約1,000万円の融資を獲得するに至った。


2.チーム作りの大切さについて(久野氏)

コロナ禍で崩れるチーム

高い理想を掲げて2017年に創業し、「若手女性起業家」の偏見やプレッシャーにさらされながら、それを跳ね返すように実績をつくってきた久野氏。メディアにも取り上げられるようになり、順風満帆にみえたものの、コロナ禍で状況が一転。売上が9割減少する事態に陥った。

現状を打破すべく、既存事業をチームメンバーに半ば放り投げる形で任せ、久野氏自身が新規事業の立ち上げに邁進。しかし、事業構想を実現するスピード感が追い付かず、ついには創業期から勤めてくれたチームメンバーが2名退職することとなった。

孤独な経営者の鎧を捨てて仲間を得る

本事業のメンターから言われたのは、「周りを頼り仲間をつくりましょう」。今まで人に頼らず自分自身で切り抜けてきた自負があったことから、当初はどうしたらよいかわからず反発する気持ちさえ浮かんでいた。しかし、メンタリングを通じて自分自身を見つめ直す中で、「世間にバカにされないように」と自分が被ってきた鎧の厚さに気づく。

仲間づくりのために始めたのは、周りの人に弱音も含めて自分の考えていることをさらけだしてみること。本事業のメンターと共に全チームメンバーとの面談も実施した。自分の想いを伝えたり、チームメンバーの話を聞いたりする時間を意識的にもつようになったことで、今までは「自分の事業を手伝ってくれる人」であったチームメンバーが、「共に考え共に進めていく仲間」となっていった。それに加えて、等身大の久野氏を受け入れてくれる新しい仲間も増えた。周りに頼ることをおぼえ、経営者をやることが楽しくなったと久野氏は語る。

本事業のプログラム期間を通じて、CTOがジョインし、チームメンバーの数も4倍に増加。資金調達も達成し、今後の挑戦の強固な礎を築くこととなった。


3. 終わりに

本事業について

孤独と戦いながら日々邁進する起業家たちにとって、「失敗」も含めた今までの挑戦の軌跡や、新しい挑戦への想いを棚卸しする時間はなかなかとれない。ましてや事業が困窮している中では、目の前の売上を積み上げることに必死になり、それをおこなうには勇気がいる。本事業では、起業家と常に伴走するメンターが存在し、事業の根幹から見直し新しい挑戦に共に立ち向かう。

昨年度の採択者たちが、本事業の満足度が高かった点として多く挙げているのは、ビジネスプランの策定や資金調達の支援に並んで、ミッション策定の支援である。ミッションやチームは挑戦をやり続ける理由となり、その武器を手に入れた採択者たちは、今年度も挑戦を続けている。

2023年度成果報告会

今年度で4年目となる本事業の成果報告会を2024年3月8日(金)に開催。過去の困難を乗り越え、再起を目指す20名の起業家たちは、昨年8月の開始から半年間にわたり自らの課題に向き合い、困難を成長の糧として新たな挑戦を続けてきた。成果報告会では、彼らが困難を乗り越え、いかに事業を成長させたか、そしてこれからの挑戦について発表。

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